基礎から現場へ。そして成長へ。新卒80名と歩んだ、2カ月間の研修を振り返る

2025年、80名の新卒社員がオープンハウス・アーキテクトに入社しました。文系・理系を問わず、幅広いバックグラウンドを持つメンバーが、現場に立つまでの約2カ月間取り組んだのは、「基礎に立ち返り、主体性を育て、現場で動ける力を身につける」ための、実践的な研修。
単に即戦力を求めるのではなく、丁寧に基礎を積み上げ、一人ひとりの成長に寄り添いながら進められたカリキュラムは、どのように設計され、どのような手ごたえを得たのか。研修を企画・実施した3名の担当者に、その裏側を聞きました。
Cast
出演者紹介
-
松本 忠治
2024年キャリア採用入社。前職はゼネコンにてマンション施工管理と、社員教育部署にて指導を担当。上を目指すオープンハウス・アーキテクトの社風に惹かれ、現在はRC造マンション部門の社員を中心に研修を担当している。
-
河部 達哉
2018年キャリア採用入社。ゼネコンで3年間施工管理業務に携わる。オープンハウス・アーキテクトは業界を変える会社だと確信し、入社。採用から研修担当まで、幅広い人材開発を担当。
-
加藤 暁子
2019年新卒採用入社。文系出身で入社し、木造の施工管理部門で新人賞を獲得。新卒採用を担当後、社員を教育するオンボーディングGへ。現在は木造部門の研修を担当している。
新入社員80名に向けた、実践型の研修プログラム
ー まずは、今年の研修内容についての概要を教えてください。
加藤:全体スケジュールとしては、営業部を除き、入社後約2ヶ月間の研修です。最初の1週間は、ビジネスマナーやビジネスマインドを教えて、以降はRC造施工管理 / 営業 / 木造施工管理・設計 / 事務系総合職 に分かれて、それぞれの研修を実施しました。事務系総合職は今年から枠ができ、マンツーマン体制でOJTでの研修が行われています。
ー 職種別の研修があるのですね。まず、RC造施工管理の研修では、どのような狙いや工夫がありましたか。
河部:RC造施工管理での研修では、“施工管理としての基礎力” を養うために、建物の造り方をレクチャーするところからスタート。4月前半で、工種ごとの工法説明や図面・材料など、建築の基礎知識を学んでもらい、4月後半には現場見学も取り入れました。
研修後半では、実際の施工図や工程表を使って、図面を読み解く力や構造を理解する演習を繰り返しました。ラジオ体操や朝礼の練習も含めて“現場の1日”を疑似的に経験できるよう、意識しました。
加藤:図面演習は、大学のゼミのような雰囲気で松本課長が前に立って、色々と教えてくださるので安定感がありました。2024年入社の社員にも復習を兼ねて、講師として来てもらっていましたね。
木造側はいろんな拠点の社員に指導してもらう形で研修を組んでいるのですが、お二人は基本的に直接指導されるので、研修内容やスケジュールを柔軟に対応できる点が良いなと思いました。“分かるようになるまでやる” という研修が可能ですよね。
松本:昨年に引き続き、新入社員が出身学部・学科問わず、コンストラクト事業部 (RC造施工) へ配属されることを念頭に置いて、ゼロから丁寧に教えていきました。
新入社員が配属後に “自分で考えて動く” ことができるよう、表面的な知識だけでなく演習を多めにした研修を行いました。時間をかけてじっくり考え、しっかり理解して学べるように、出来る限り柔軟に対応しました。
河部:まずは自分で気付きを持ち、徹底的に考える方針です。ネットやAIも駆使して、教え合いながら答えを探す力をつけてもらいました。
また、7月の一級施工管理技士試験に向けて、研修期間中から毎日小テストと、毎週模擬試験を実施してきました。文系出身者も含む全員が、5月末時点で合格基準60%に対し正答率50%以上を達成することができ、基礎固めはできたと考えています。RC現場での「20代所長」を目指してもらうためにも欠かせない資格になるので、資格取得に向けて頑張ってもらいたいです。
責任重大な品質検査に、営業のアポ獲得まで。現場力を育て、成果を生み出す仕組み
ー 木造施工・設計、営業の研修は、どのように実施されましたか?
加藤:木造施工・設計の研修では、家づくり工程の基礎知識を徹底的に学ぶカリキュラムにしました。4月前半は、着工から完工までの流れや用語を一通りレクチャーしつつ、4日間の現場実習へ。工程検査について、現場を見ながら学んでもらいました。
4月後半からは、各工程ごとの内容を工程順に一つずつ丁寧に解説。5月は2週間の現場OJTを実施し、その後は実務的な事務処理を学ぶスケジュールで、座学と実地を繰り返す反復型の学びにしています。
前年の研修を振り返って、着工から完工までの流れを点ではなく、線で理解してもらうことを意識しました。本当に必要な研修内容に的を絞って、昨年の111講義から今年は80講義に削減。基本を正確に理解してもらうことを目的に、地道な反復に重点を置きました。
研修後は「品質検査プロジェクト」も行っています。配筋・アンカー検査、金物検査、外装防水断熱検査、木完検査の4つの項目について、新卒自身が検査マニュアルを作成。実際に現場で一人でも検査・是正依頼を行えることを目標としています。
加藤:営業の研修では、まず建築や施工の基礎知識をインプット。その後、営業部長の指導のもと、マインドセットから法人テレアポリストの作成方法、販売図の読み方など、実務に直結するカリキュラムを実施しました。
特に印象的だった研修は、テレアポ実習です。2日間で100件という目標に対し、結果として110件の法人アポイントを獲得できました。お客様相談室の次長という電話対応のプロの方に直接ご指導いただけたことは非常に大きかったです。熱心にご指導いただいて、研修後に声が枯れてしまっていたことにびっくりしましたが(笑)研修後もアポイントを獲得できる力がしっかりと身につきました。研修の最後には、拠点でのOJTも実施し、実務の現場で業務をするイメージや心構えができるようにしました。
応用の前に、土台を。「基礎」に立ち返った理由
ー 例年と比べて、意識されたことや変わった取り組みはありますか。
加藤:今年の研修は、全体として「基礎」を大切にしました。基本的な知識がちゃんと頭に入っていることはもちろん、挨拶や礼儀マナー、主体的に動くなど、社会人として求められる当たり前の部分がしっかりできた状態で現場に行くことを目指しました。
これまでは「即戦力になる」「いち早く活躍できる人材になる」ことを目標設定していたのですが、社会人としての基礎を身に付けたうえでこそ、応用のスキルやテクニックが活きると考えました。
マインドセットにも力を入れ、例えば毎週の朝礼後に取締役から “15分間の講話” を実施。新卒たちは真剣に耳を傾けて、日々熱量を持ちながら研修に取り組むことができました。また、毎朝、オンボーディングGからメールマガジンを送り、「かわいがられる人になるには」「結果を出すためには」などといったテーマを通じて、考え方の土台や背中を押すメッセージを伝えていきました。
河部:メルマガは全部で30通配信しました。毎日研修が終わったあとに用意するのは大変でしたが、新入社員はよく読んでくれていたようです。
松本:素直で前向きなメンバーだったのが印象的ですね。勉強熱心で「ここを掘り下げてみたいです」「もっと勉強してみます」といった声もありました。
次世代の幹部候補育成を視野に入れた、フォロー体制を築きたい。
ー 研修を終えて、どのような手応えや課題を感じましたか。
松本:昨年から研修内容を何度も考え直して、ベストなカリキュラムだと思って臨んだのですが、いざ実際にやってみると“もっとこうした方がよかった” という気付きも多かったですね。建築知識だけでなく、パソコンスキルなども含め、来年に向けてブラッシュアップできる点が見えました。
加藤:カリキュラムは、毎年改善の余地があります。今後は少しずつ自分で話すパートを増やして、柔軟な研修スケジュールが組めるようにしていきたいですね。
ー 今後の研修や新入社員フォローについて、どのようにお考えですか。
松本:他社の建築会社では、建築系の学生を積極的に採用しているそうですが、オープンハウス・アーキテクトでは学部関係なく採用していますよね。
加藤:そうなんです。上層部からもお話がありましたが、建築系の学生の母数は限られているので、文系出身者も含め、多様なバックグラウンドを持つ人材を技術者として育成していくことが、今後も求められてくると思います。成長させる環境や仕組み、制度を作ることが重要です。
松本:コンストラクト事業部へも建築系以外の学生を配属する取り組みが加速しています。ここ数年で、急激に売り上げ・組織規模が伸びていますが、まだまだ成長フェーズにいるので、幹部候補生としてどんどん学んでもらいたいですよね。
加藤:配属後のフォローも重要だと考えています。特に拠点巡りや定期的な面談を通じて、新入社員一人ひとりの状況を把握し、適切なサポートを提供していきたいです。
※インタビューの内容は取材時(2025年6月)のものです。