対談

2026.05.09

業界初!建築進捗をアニメで届ける「TATETA」開発秘話。施主の不安を安心とワクワクに変える挑戦

一生に一度の大きな買い物である「家づくり」。しかし、着工から引き渡しまでの数ヶ月間、現場の状況が見えず不安を感じる施主様は少なくありません。そんな課題を解決すべく、オープンハウス・アーキテクトがリリースしたのが、建築進捗可視化アプリ「TATETA(タテタ)」です。

自社の施工管理システムで培ったリアルタイムデータを活用し、わが家の成長をアニメーションで楽しむという業界初のユーザー体験を実現しました。今回のインタビューでは、開発を主導した田中さんと構成・デザインを担った栁瀨さんに、開発のきっかけや「ワクワク」を届けるための徹底したこだわりについて、詳しくお話を伺いました。

Cast

出演者紹介

  • DX推進部 次長

    田中 健次

    2020年キャリア採用入社。大手銀行系システム会社を経て入社後、Architect Jumpの開発責任者として現場DXを推進。自身の施主経験を元に「TATETA」を企画。

  • DX推進部 主任

    栁瀨 いづみ

    2022年キャリア採用入社。元販売員から建築DX部門へ。建築未経験の視点から、初心者が直感的に楽しめるサービスを追求。「TATETA」の構成やデザイン全般を担当。

家づくりの不安を、安心とワクワクへ。

── 「TATETA」のプロジェクトが動き出したきっかけを教えてください。

田中:
最大の転機は、私たちが自社開発し、現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してきた施工管理システム「Architect Jump(アーキテクト・ジャンプ)」が、社内のインフラとして定着してきたことですね。運用開始から月日が経って、現場監督や職人さんたちが当たり前にシステムを使い、リアルタイムで正確なデータが社内に蓄積される土壌が整いました。そこで「この現場のリアルなデータを、お客様(施主様)に還元できないか?」と考えたのが「TATETA」の始まりでした。

── 現場のプロが使うデータをもとに、一般のお客様へも提供しようと考えられたのですね。

田中:はい。実は私自身、注文住宅を建てた際の経験も反映されています。設計が終わってから引き渡しまでの数ヶ月間、連絡が途絶える空白期間に不安を感じたんです 。また、引き渡し後の書類がすべて紙で、電子ファイルが欲しかったという切実な思いもありました 。友人が家を建てた際にも「現場に行って写真を撮るけれど、これが建築会社側から提供されたら嬉しい」という声を聞き、サービスへのニーズを実感しましたね。

── とはいえ、建築工程を細かく公開するのは、業界的には「リスク」と捉えられがちですよね? 踏み出せたのはなぜでしょうか。

田中:
おっしゃる通り、情報を出すリスクは業界共通の懸念事項です。でも、弊社にはDXを強力に推進してきたうえでの実績があります。現場でのシステム活用が全社規模で機能している今こそ、チャンスだと確信して「攻めの開発」を決断しました。

お客様に楽しんでいただくための、こだわりとは。

── デザインや構成を担当された栁瀨さんは、どのような点にフォーカスしましたか?

栁瀨:
仕様打ち合わせに同行させていただいた際、楽しみながら家づくりをするお客様の姿がとても印象的でした。でも、いざ施工期間に入ると接点が減り、モチベーションが下がってしまう。そこで、施工中も「お客様に楽しんでいただくこと」にフォーカスしたサービスを目指しました。

── お手本がない「業界初」の試みの中で、どう構成を練っていったのでしょうか。

栁瀨:
とにかく「建築知識がない人でも、直感的にワクワクできること」に専念しました 。というのも、私自身がこの業界に入ったばかりの頃、専門用語がさっぱりわからなかったんです。「上棟(じょうとう)」と言われても、未経験者には完成形がイメージしづらいものですよね。

初めて建築に触れる方にとって、耳馴染みのない用語は不安の種になりがちです。だからこそ、「自分だったら、どんな形なら飽きずに楽しく見続けられるか」という視点を大事にしました。難しいことを難しく伝えるのではなく、「自分たちの家がどう作られていくのか」が誰にでも一目で伝わる分かりやすさと、毎日触れたくなるような親しみやすさを常に意識して形にしていきました。

── 構成を固めるうえで、特に苦労した悩みなどはありましたか?

栁瀨:
一番悩んだのは、「システムとしての正確さ」と「エンタメ感」の塩梅です。細かい数字や専門知識を羅列しても、お客様には伝わりにくい。そこで、「ネットリテラシーの有無に関わらず、誰もが直感的に理解できること」を最優先に掲げました。

あえて詳細な情報を削ぎ落とし、パッと見て状況が掴める視覚情報を優先するという、ある種の振り切った判断をしています。ただ、これはオープンハウス・アーキテクトの既存システムにはない「遊び心」を取り入れる挑戦でもありました。どこまでポップにして良いのか、その境界線を見極め、バランスを保つのに非常に苦労しましたね。常に「お客様視点」で考えながら、制作していきました。

── お客様にはどういった気持ちで、この画面を眺めてほしいと想像しましたか?

栁瀨:
ご家族で「TATETA」を開いた瞬間に、「わあ、かわいい!」と自然と笑顔がこぼれるような光景をイメージして作りました。購入されるお客様の年齢層が自分に近いこともあり、「自分だったらどう見たいか」という視点を大切にしています。画面の中に広がるわが家を、愛着を持って眺められる「自分たちだけの箱庭」のように感じていただけるよう、細かな仕掛けを各所に散りばめました。

細部に宿る、オープンハウス・アーキテクトらしさ。

── 視覚的なこだわりや、オープンハウス・アーキテクトらしさを表現したポイントを教えてください。

栁瀨:
カプセルトイなどのトレンドも意識し、ミニチュアのような可愛らしさを意識しました。監督スタッフの制服やロゴ入りの現場シートなど、細部までオープンハウス・アーキテクトらしさが散りばめられています。

特にこだわったのは、親しみやすい色味と、斜めに配置させた立体表現です。画面をスワイプすると、斜めにイラストが動いていき、思わず触りたくなるような仕掛けを施しています。

田中:一般的なサービスでは、単に写真やテキストを表示するだけのものもありますが、私たちは「ワクワクを添える」ために、あえて一味違ったアニメーションでの打ち出しを狙いました。栁瀨さんのセンスによって、温かみのある世界観が完成したと思います。

── 種類豊富な住宅イラストや、解説機能の工夫も素晴らしいですね。

栁瀨: お客様の住宅に最も近いイラストが144パターンの中から表示されるよう作り込みました。画面上の「?」マークを押すと、施工写真が付いた詳細な解説が見られるようにしています。単なるイラストだけでなく、現実の施工現場とリンクさせることで、「納得感」を持っていただけるように工夫しました。これは社内のメンバーや現場の協力があってこそ実現できたポイントです。

── 動画も非常にポップで引き込まれます。注目してほしいポイントはどこでしょうか?

栁瀨: 「説明不要で誰にでも伝わること」を大前提に、耳に心地よいナレーションや、飽きさせないリズム感にこだわりました。視聴後に「早く自分でも触ってみたい!」と指先が動くようなワクワク感を大切にしています。ぜひ、音声付きでご視聴いただければ嬉しいです。

また、アプリ内の「上棟・木完(もっかん)・完工」といった節目で流れる動画も、あえて異なる視点で作成し、エンタメ要素を強めています。建築中の現場に毎日通うような楽しさを感じていただきたい一方で、単調な報告では飽きてしまいますから、工程が進むにつれて演出に変化をつけ、ワクワクが加速するようにしました。

特に最後の「完工動画」は、これまでの家づくりの歩みを振り返るエモーショナルな構成にしています。お客様がこれまで抱いてきたマイホームへの想いを、引き渡しの瞬間の感動へと繋げられるような、温かみのあるテイストに仕上げました。よく見ると登場人物にもいろいろなキャラクターがいるので、最後まで注目してご覧いただければと思います!

「TATETA」で、すべての家づくりを「オープン」に。

── 実際にサービスをリリースしてみて、現場や社内の反応はいかがですか?

田中:これまでリリースしてきたシステムの中でも、特に前向きな反応があったのが印象的でした。すでに多くのメディアにも取り上げられ、良い認知に繋がっていると思います。

栁瀨:女性社員の方々から「すごくかわいい」という声をいただいたときは、本当に嬉しかったですね 。自分の感覚が間違っていなかったと自信を持てました。

田中:副次的な効果として、現場の質も向上しています。お客様がアプリを通じて写真を見ているという実感が、撮影の丁寧さにも繋がっていることに気付きました。

栁瀨:職人さんが撮影した現場写真を管理アプリ上にアップロードしたデータが「TATETA」の価値に繋がるという「Architect Jump」シリーズならではの好循環が生まれています。

── 最後に、今後の「TATETA」をどのように展開・推進していきたいか、教えてください。

田中:今後は、弊社で建築を請け負う不動産事業者様向けに、「建売物件」の進捗状況も「TATETA」で見られるよう提供範囲を広げていきます。これにより、事業者様だけでなく、その先にいらっしゃるエンドユーザー様へもどう作られているかという透明性、そして大きな安心を提供できると考えています。

栁瀨:なるべく業務負担がないように設計した工夫もあり、社内でもぜひこのアプリをどんどん活用してもらえると嬉しいですね。「TATETA」を通じて、常にお客様目線を忘れないようにしたい、という思いもあります。オープンハウス・アーキテクトでの家づくりをよりワクワクする体験に変えていきたいです。

※インタビューの内容は取材時(2026年4月)のものです。