対談

2023.05.17

夏は涼しく冬は暖かい、高気密・高断熱住宅。オープンハウス・アーキテクトの高品質な家づくり。

建築業界のリーディングカンパニーを目指して、「圧倒的なスピード」と「低価格」のみならず「高品質」にも決して妥協しないオープンハウス・アーキテクトは、年間5,500棟もの住宅を設計・施工しています。

冬でも暖かい『高気密・高断熱住宅』の建築において気密性を表す数値を基準値の1/4以下にしたいというご要望をいただきました。オープンハウス・アーキテクトの設計・営業・施工のプロフェッショナル達はこの難題にどう取り組んだのか。設計部・山内部長と営業担当・吉田店長、施工担当・小川課長に伺いました。

Cast

出演者紹介

  • 設計部 部長

    山内 活也

    2020年キャリア採用入社。設計部の責任者として、建築プランや図面のチェック、相談対応、施工図の最終確認、設計ルール・マニュアルの作成、研修講師など、多岐に亘る。自社の設計がスムーズに進行できるよう、広い視点で助言・確認、仕組みづくりを行う役割。

  • 営業部 立川展示場 店長

    吉田 安廣

    2009年キャリア採用入社。戸建住宅の受注がメイン業務。立川展示場に常駐し、お客様それぞれの希望を叶える家づくりのために、打ち合わせから完成した物件の引渡しを経て、最終的に集金までを担当。お客様の家づくりのパートナーとして、最初から最後までトータルに関わる存在。

  • 工事本部 関東木造施工部 課長

    小川 浩司

    2004年キャリア採用入社。東京エリアの課長職として、課員をまとめながら、施工管理を担う。品質特化で住宅から店舗まで幅広く手がける。また、メンバーが仕上げた現場を最終チェックしアドバイスなども行なっている。

「エアコンいらず!?の圧倒的高品質住宅」プロジェクトがスタートしたのは?

──はじめに、今回のプロジェクトのきっかけについて教えてください。

吉田:2021年6月ぐらいでしょうか。娘さんのご結婚をきっかけに、住宅を建て替えたいというご相談をいただいて。近い将来、仕事を引退されると、1日の大半の時間を家で過ごされるわけですから、ご夫婦そろって快適な家づくりをご希望でした。

山内:当時のお住まいは約25年前に購入された建売の木造住宅。雨漏り、虫の侵入、夏の熱さ・冬の寒さ、結露、家の中での寒暖差など、さまざまなお悩みをお持ちでしたが、奥様を特に悩ませていたのが、虫の侵入です。「虫が入らないよう、できれば窓さえ開けたくない」と仰るほど苦手なようでした。

また冬の寒さにお困りの一方で、エアコンの風が苦手というお話も伺いました。虫が1匹も侵入できる隙間がなく、かつ暖かい高気密・高断熱の住宅にご興味を持たれ、当社を含め複数のメーカーを検討されていました。そこで当社においても各セクションから技術に詳しいメンバーが集まったわけです。

──オープンハウス・アーキテクトが選ばれた理由はどこにあるとお考えですか。

山内:他メーカーは「高気密・高断熱の家」を大々的にPRする一方で、当社ホームページには一切紹介されていませんでした。正直最初は「狭小設計に強みがあるオープンハウスに話を聞いてみよう」くらいの感覚だったと思います。

私がプランを提案して以降は、お客様からさまざまな問い合わせメールをいただきました。ご自身でいろいろ調べられたうえでお寄せいただく質問に、私もできるだけ早く、詳しく、回答するよう意識していました。

吉田:私からすると、お客様も山内部長への質問や相談といったやり取りを楽しんでるようにも見えました。そうしたレスポンスの速さや回答から垣間見える専門性に、自分が思い描く建物を実現できるのは山内部長しかいないと思われたことが(オープンハウス・アーキテクトでの施工を)お選びいただいた理由ではないかなと思います。そうしたコミュニケーションを何度も繰り返し、2021年11月にご契約をいただきました。

気密性能を表す「C値」を、住宅基準の1/4以下にするという高難易度のミッションに挑む。

──「エアコンいらず!?の圧倒的高品質住宅」とは具体的にどんな特徴があるのでしょうか?

山内:エアコンいらずを叶えたのは、「輻射式冷暖房システム」と「蓄熱式床暖房」で、家中どこでもほぼ一定の温度を実現し快適に過ごすことができます。日本ではあまり見かけない輻射パネルは、1階に中型パネル2台、2階に小型パネル4台を設置。エアコンは冷風や温風による空気の対流で温度が調整されますが、輻射パネルは中に冷温水を流すだけで、エアコンと同じ機能を果たしながら、風も音も出ません。

原理は鍾乳洞と同じで、壁が冷たいと、風がなくても体温の熱がどんどん奪われひんやりしますよね。パネルに10℃くらいの冷水を流すだけで天井・壁・床などを冷やし、冷房の効果を発揮します。風がないのでホコリやダニの糞、花粉などを巻き上げることもありません。

またエアコンの騒音がないことで、テレビでも音楽でもよりクリアな音で聞くことができます。エアコンがとにかく嫌という話を最初から伺っていましたし、オペラが大好きとお伺いし、ニーズに最も合う輻射パネルを提案させていただきました。

※ソファ後ろの壁に備え付けられた「輻射式冷暖房システム」。風も音も出さずエアコンと同じ機能を果たす

──なるほど、伺っているだけでも難易度が高そうなのがわかります…最も苦労した部分について教えてください。

山内:気密性能を表す「C値」を0.5以下にしたいという具体的な理想値を施工前から伺っていました。高気密住宅の基準2.0よりはるかに低い数値ですし、「C値」は(住宅全体の隙間の合計面積÷延床面積)で算出されるため、延床面積が小さいほどに難易度は上がっていきます。ご依頼の空間で実現しようとすると、人間の目では認識できないぐらいのものも含め、住まいのあらゆる隙間を塞ぐ必要がありました。

小川:柱、土台、ボルトの穴、断熱材と断熱材の間など、あらゆる部分にある0.1mm~0.2 mmといったコンマレベルの隙間も徹底的に埋めるシーリング工事を自分で行いました。職人さんにお願いすることもできますが、前例のない数値を目指すうえで、自ら動いたほうがポイントを把握できますし、確実という想いでしたね。当時は繁忙期で店舗の施工などとも掛け持ちしていたのですが、こちらの現場は他現場の3倍ぐらいは通ったかもしれません(笑)。

──検査の結果は…高気密住宅の基準2.0に対して驚異の0.33を達成されたと伺いました!当時の心境を教えてください。

山内:それまでの小川課長の仕事を見ていましたから、これだけやれば相当いい数値が出せる、感覚的に0.5ぐらいはいくだろうと思っていました。実際に検査して0.5を大きく下回る数字が出たと大工さんに話をしたら、すごく喜んでいましたね。これで高気密・高断熱の家はできる、といった自信も持てたようです。

小川:検査当日はお客様も来てくださって。本当は2~3日前に1回試しに検査したかったのですがそれは叶わず、当日のぶっつけ本番で内心すごくドキドキしていました(笑)。

山内:奥様のお悩みである虫の侵入には2種類の防腐・防蟻処理を行いました。通常は、木の部分に下から1mほどまでするものが一般的なのですが、これまでのイエシロアリとヤマトシロアリだけじゃなく、海外の乾いた木さえまでも食べてしまう「アメリカカンザイシロアリ」にはホウ酸が有効だということで、人間にとってはほぼ無毒のホウ酸を使った処理を家全体、屋根の上にまで施すことを提案。
また建物そのものに虫を近づけたくないという話から、基礎の外周に配管を巡らして薬剤が少しずつ漏れ出し地中からの虫の侵入も防ぐ、新しい発想のシロアリ防除システムも導入しました。

※蓄熱式床暖房の設置、防腐・防蟻処理、コンマレベルの隙間も徹底的に埋めるシーリング工事の様子

「30年メンテナンスがいらない家」をつくりたいというご要望を受けて考え、実行したこと

──他にもお客様からご要望をいただいたことはありましたか?

吉田:今後の人生設計も踏まえて「30年間メンテナンスがいらない家」というご要望もいただいておりました。定期的なメンテナンスが必要とされる外壁材は30年耐久、継ぎ目の材料であるコーディング材は40年耐久、ラインナップ外の特殊な屋根材も取り寄せるなど、全て長期間メンテナンス不要の素材を選び、長く使い続けられるようにしています。お客様からは引き渡しの際に「オープンハウス・アーキテクトの皆さんに、望んだものを叶えていただいた」というお言葉いただきました。

山内:家づくりのプロセスを通じて、いつしかお客様から「今度ワインパーティーでもしましょう!」とお誘いいただく仲に。現在も毎月必ず1~2回メールをくださいます。メールでは「今月の電気料金はいくらでした」と、今年と、去年・一昨年の電気料金を比較したグラフで報告してくださいます。

基本的にはだいたい同じぐらいか少し多いぐらいなのですが、それまでは個別に各部屋だけを暖めていたことを考えると、少し増えたぐらいで全館暖房が実現できて、トイレや浴室内も含めて常に20度以上を保てると考えると非常に良いという話をいただきますね。奥様は外の気温が氷点下の真冬でも寝るときに毛布1枚しか掛けていないそうです!

──それほど暖かい家を実現されたということですね。高難易度なプロジェクトに共に取り組む仲間に求める資質とは?

吉田:山内部長みたいな幅広い知識があり、その知識にも拘りもある人があと3人くらいいてほしいです(笑)。もしくは弊社だと、営業設計という形で営業が企画を行うので、今回のようにご要望が多岐に亘る案件となると、やっぱり技術のところも含めた提案ができたり、お客様と折衝できたりする営業寄りの設計メンバーが増えるといいなと思います。

そうすると膨大なデータをもとに提案を行う大手メーカーにも提案負けしなくなるでしょうし。それからお客様とのコミュニケーションを楽しめることも大事ですよね。

山内:いかに的確に、スピーディーに答えられるかは重要ですよね。とにかくお客様のためにレスポンス早く対応する、そういう意識を持った方がいいですよね。

正確性や技術の裏付けは徐々につけていけばいいものですから、お客様から何かご質問があればすぐに答える。わからなければ、わからなくても構わないので「調べて何日までにお返事します」と一旦返答するとかね。その辺りをポンポンと進められる人がいいと思います。

小川:オリジナルの家具づくり、標準寸法の見当たらない施工図などイレギュラー対応にも妥協しないとか、責任感がないとお客様のご要望を叶えるところまで行きつきません。またお客様と現地でお会いしてお話しすることもあるので、やはり会話はできないと。そのためにも、やはり技術的な知識の下積みがないとなかなか話せないとも思いますね。その辺りは入社してから少しずつ学んでもらえたら嬉しいですね!

※インタビューの内容は取材時(2023年3月)のものです。