対談

2024.12.27

事業期間を大幅に短縮する、お客様の新しい選択肢。規格住宅「FIXIE」の誕生秘話。

2024年2月に正式リリースされた、オープンハウス・アーキテクトの、法人のお客様向けの規格住宅「FIXIE」。自社初の規格商品の開発プロジェクトを立ち上げ、約1年の開発期間を経て、実際にリリースし、すでにいくつもの物件が完成。その「FIXIE」の誕生秘話を、プロジェクトチームと一号物件を担当したメンバーに話を聞きました。

Cast

出演者紹介

  • 建築管理部 渉外企画G 次長

    武冨 義也

    2018年キャリア採用入社。規格住宅プロジェクト立ち上げ当初から参画。渉外担当として、建材や設備メーカーなど各社パートナーと密に連携を取り、常に先を見越して資材供給に動き、安定した施工を支える。

  • 経営推進部 デザイン戦略G 係長

    金森 笑梨

    2021年キャリア採用入社。プラン大幅拡充のタイミングでプロジェクトに参画。FIXIEデザインやプランだけではなく、細部までこだわりたいお客様の物件を担当し、「洗練されたシンプルなデザイン」を追求。

  • 営業部 営業第一エリア 桜新町店 主任

    西面 陽平

    2019新卒入社。FIXIE第一号物件の営業を担当。工事本部に配属され施工監督を経験した後、営業部に異動。営業と施工、両方の経験を活かしながら、FIXIEの業務フローを遂行し、大幅な事業期間短縮を実現。

  • 工事本部 関東木造施工部 東京第一施工G

    柴田 涼香

    2022年新卒入社。FIXIE第一号物件の施工監督を担当。工期を標準工期内に収めることにこだわる。前もった段取りを徹底し、施工パートナーと密接に連携しながら工事を遂行。2023年9月には社内最短の工期日数を達成。

プロジェクトのリリースまでの道のり

── OHAではこれまで規格住宅をあつかっていませんでしたが、なぜプロジェクトを立ち上げたのですか。

武冨:2022年末にプロジェクトが発足し、約1年の開発期間を経て2023年12月にリリースされました。当初の目的は、既存商品との差別化による新しい市場・顧客の獲得、工事品質の向上、事業期間の短縮、若手社員の育成支援でした。プロジェクトチームには営業、設計、施工の各部門から代表者が参加していました。

柴田:当時工事の品質に対してテコ入れしていかないといけない時期でした。工期についても課題があったと思います。若手社員もどんどん増えてきていて、経験の浅い若手でも品質を担保しやすい商品が求められていたのではないかと。

武冨:初回はとにかく課題認識を共有して、商品の狙いをどこに設定するかということを議論しました。これまでデベロッパー様領域の業務を内製化することで工程管理を容易にしたり、規格化によってバリエーションを絞ることで仕様決めなどを簡略化していこうと企画・検討していました。


FIXIE開発時の書類や図面

西面:施工のしやすさだけではなくて、営業もあつかいやすい商品づくりをして欲しいというのはありましたよね。当時、規格商品を扱っている競合他社と並べられたときに価格優位性が出しにくいというのもあって、OHAが規格住宅を出すということは、営業担当としてはうれしい驚きでした。

武冨:既存商品である自由設計の商品のよさをつぶさない、むしろ対となる規格住宅の存在によって既存商品の良さを引き立てる点もポイントでした。落としどころを見つけるのには結構苦労しましたが。

リリース後、営業する中でいただいたご意見やご要望をすぐにカタチに

── テストリリースに近い状態でスタートしましたが、その後で苦労したのはどんなことですか。

西面:お客様にご案内をして、反応自体は悪くなかったですね。「またきちんと説明聞かせて」とか。ただ、その時にはお仕事にはつながらなかったんです。「プラン数がもっとあればいいのにね」というお声をいただきました。加えて、例えば高台とかにある現場だった場合、「見晴らしがいいからフィックスの窓とかできないの?」とか、自由設計でいただくご要望に近いご意見もいただきました。

金森:はじめは48つのプランでスタートしましたが、プラン数の不足というか、もっとバリエーションあればいいのにというのはありましたよね。

武冨:リリースした後は毎月8プランペースで増やしていきましたが、競合他社と比較すると、やはりお客様に対してもっと選択肢を用意しないといけないだろうと。

金森:すぐにプランを拡充するプロジェクトが動き出しましたね。同時に外観とインテリアのバリエーションも増やしました。今では264プランまでバリエーションを揃えることができています。

西面:どのぐらいの間口で、どのぐらいの広さのプランがお客様に求められているのか、営業からの要望も反映してもらいました。

武冨:商品力を上げるためにはもっと選べる選択肢を増やしたり、規格商品ではあるもののオプション的な部分をもうちょっと増やさないと、お客様にもご満足いただけないよねといった声もありました。

金森:個々の物件でご要望を受け入れすぎてしまうと、規格商品というある程度「型の決まったものの中から選んでいただくだけ」というコンセプトから外れてしまいます。それであれば、自由設計の商品をご提案した方がよいのではないかという意見との綱引きがありましたよね。

当初の想定通りに事業期間を短縮。さらなる商品性の向上を追求

── 実際の成果についてお聞かせください。

武冨:事業期間のところはかなりうまくいったなと思います。関係部署と各担当者のスピーディな対応もあるのですが、一号物件では契約から完工まで約5ヶ月を実現できました。

柴田:施工監督側としては、図面をぱっと見た瞬間に本当に四角のスクエア型になっていて、納まりも難しくなくて、すごく施工しやすそうだなと思いましたし、実際やりやすかったです。77日で完成することができました。

西面:見ていただいたお客様からは、すごく品質もよくて、全体的にはかなり高評価でしたね。規格商品でデザインやプランもはじめから練り込まれているので、フリープランで徹底的にこだわりたいというお客様でなければ、十分コストメリットは出ると思います。

柴田:商品を規格化させることで工事パターンが絞られて、施工品質の向上と安定が期待できるだろうという狙いがあったんですよね。それによって、実際に監督の負担も軽減されているのではないかと思います。

── 今後の展開についてお聞かせください。

金森:デザインやプランの改廃などもトレンドやマーケットのニーズにあわせて常に検討していかないといけないですしね。リリースして終わりではなく、見直しをかけていきたいです。

武冨:変わらない想いとしては、規格商品だからこそお客様にコストメリットを提供しなくてはいけません。プランを増やしたりすると、基礎やプレカットなどのコスト面のコントロールが難しくなってきたりするので、きちんと意識してやっていきたいですね。


2024年7月に完成したFIXIE第一号物件

※インタビューの内容は取材時(2024年12月)のものです。