建研 耐力壁面内せん断試験

目的

当社木質壁パネルの壁倍率認定(昭56年建告第1100号)を取得する計画の一環として、
現行仕様の木質壁パネルの構造特性を把握するために面内せん断試験を実施いたしました。
(比較用に在来工法の筋かい耐力壁についても試験を実施しました。)
今回の試験結果を踏まえ、(公財)日本住宅・木造技術センターにおける壁倍率の性能評価を経て、
国土交通大臣の認定を取得いたします。
本計画の最終章として、壁倍率の認定を取得した木質壁パネルを用いた建築物の実大振動台実験を実施し、
当社商品の耐震性の高さを客観的に訴えかけます。

試験中の風景

試験内容

試験場所 独立行政法人 建築研究所 構造複合実験棟
試験日 平成25年7月29日~7月31日
仕口仕様 在来仕口 又は ピン仕口
耐力要素 筋かい、AEPパネル 又は AGPパネル
面材 AEP、AGPともにパーティクルボード
(ノボパンSTPⅡ、厚さ9mm)
壁倍率 筋かいについては2倍(基準法値)
AEP、AGPともに現状では2.9倍
(木軸、大壁仕様、大臣認定番号FRM-0177)
  7/29(月) 7/30(火) 7/31(水)
午前 No.1 在来仕口②
(在来仕口+AEP)
No.3 在来仕口①
(在来仕口+筋かい)
No.5 ピン仕口②
(ピン仕口+AGP)
午後 No.2 在来仕口③
(在来仕口+AGP)
No.4 ピン仕口①
(ピン仕口+AEP)

(No.1~No.5は加力順序を示す)

日本住宅・木材技術センター「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」を参考に、変形角γ= 1/450rad、1/300 rad、1/200 rad、1/150 rad、1/100 rad、1/75 rad、1/50 radまで正負交番加力を3回ずつ行い、1/15rad以上まで加力を行った。
※ 変形角γ = 耐力壁の高さに対する頂部水平変位の割合 = 頂部水平変位/H

No.1試験体 在来仕口②(在来仕口+AEPパネル)
  • 最大荷重43.7kN(1/24rad)、最終変形角1/11rad、1/120rad時荷重=29.3kN
  • 破壊性状としては、パネル留付けの釘のせん断破壊及び引抜けで、1/19rad程度まで殆ど荷重低下は認められなかった。
  • 低減係数α=0.8、ばらつき係数非考慮とすると壁倍率は5.52倍と算定される。現状の運用値に対して大幅に実性能が高いことが確認された。
No.2試験体 在来仕口③(在来仕口+AGPパネル)
  • 最大荷重30.5kN(1/43rad)、最終変形角1/9rad、1/120rad時荷重=22.7kN
  • 破壊性状としては、1/50rad付近でHD金物が留付けられている引張り側柱の柱脚に破壊が生じ、急激に耐力低下(約41%荷重が低下した)を起こした。その後も耐力は低下し続けたが最終的には1/9radまでの加力を行った。
  • 低減係数α=0.8、ばらつき係数非考慮とすると壁倍率は3.1倍と算定される。
    (現状の運用値に対して若干高いが、ばらつき係数を考えると必ずしもそうとは限らない。AGPパネルは縦枠がないのでHD接合ビスのせん断力を軸組の柱のみで伝達するのでAEPパネルと比較して、HD金物留付け位置をシビアに管理する必要があると考えられる)
No.3試験体 在来仕口①(在来仕口+筋かい)
  • 45mm×90mmの筋かい用いた耐力壁で、建築基準法上の壁倍率は2倍(令第46条)
  • 最大荷重12.1kN(1/35rad)、最終変形角1/12rad、1/120rad時荷重=8.1kN
  • 破壊性状としては、筋かいを間柱に留付けていた釘が抜け、1/23rad付近で圧縮側筋かいが座屈破断した。
    座屈直前の荷重は10.7kN、座屈直後の荷重は7kNであった。その後引張り側の筋かいのみで抵抗する機構となり、徐々に耐力低下が進行した。
  • 低減係数α=1.0、ばらつき係数非考慮とすると壁倍率は1.8倍と算定される。
    (建築基準法値よりも低いが、実際の建物において本試験体に用いた程度の筋かいを表しで使用することはほとんどなく、なんらかの座屈拘束部材(せっこうボードなど)が取り付くので、試験結果よりは性能は高いものと推測される。または、筋かいの間柱への留付けを強固にする(例えばビスを用いる)ことで耐力の向上が見込まれる。)
No.4試験体 ピン仕口①(ピン仕口+AEPパネル)
  • 最大荷重39.1kN(1/43rad)、最終変形角1/9rad、1/120rad時荷重=28.0kN
  • 破壊性状としては、パネル留付けの釘のせん断破壊及び引抜けで、1/16rad程度まで殆ど荷重低下は認められなかった。
  • 低減係数α=0.8、ばらつき係数非考慮とすると壁倍率は5.24倍と算定される。現状の運用値に対して大幅に実性能が高いことが確認された。
No.5試験体 ピン仕口②(ピン仕口+AGPパネル)
  • 最大荷重29.8kN(1/44rad)、最終変形角1/9rad、1/120rad時荷重=21.7kN
  • 破壊性状としては、パネル留付けの釘のせん断破壊及び引抜けで、1/20rad程度まで殆ど荷重低下は認められなかった。
  • 低減係数α=0.8、ばらつき係数非考慮とすると壁倍率は5.24倍と算定される。現状の運用値に対して大幅に実性能が高いことが確認された。

まとめ

試験体名 Pmax(kN) Pa(kN) 低減係数α 壁倍率 破壊性状
在来仕口①-筋交い 12.14 6.43 1.0 1.80 圧縮座屈
在来仕口②-AEP 43.68 19.68 0.8 5.52 面材浮上り
在来仕口③-AGP 30.45 11.07 0.8 3.10 HD接合部柱割れ
ピン仕口①-AEP 39.07 18.70 0.8 5.24 面材浮上り
ピン仕口②-AGP 29.76 14.06 0.8 3.94 不明
  • AEPパネル、AGPパネルともに、パーティクルボードの建築基準法壁倍率を上回った。
  • 筋かい耐力壁は、圧縮筋かいが早期に面外にはらみだした結果、建築基準法壁倍率を下回った。筋かいと間柱との緊結強度を上げることで、基準法値をクリアできる可能性がある。
  • AEPパネルの方がAGPパネルよりも構造性能が高かった。これはAEPパネルの枠材が日の字形であるのに対し、AGPパネルではH形のため、材積及び留付け釘の数量ともにAEPパネルが上回っていることが主要因と考えられる。
  • 軸組仕口の差はあまり確認できなかったが、わずかにピン仕口の方が剛性、耐力ともに低い値であった。
    あまり差が大きくなかったのは、面材張り耐力壁なので、釘の抜けや折れが発生するまでは、仕口部付近の回転応力は仕口部だけでなく面材負担分も少なくないためだと考えられる。
    今後の研究の一貫として、面材を施工しない状態での在来仕口構面とピン仕口構面の加力試験の実施が望まれる。